松本伊代BOX
ビクター(VIZL-109)
\19950
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2004.3.24発売

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・[初回封入特典]おしゃべりCD+本人自筆メッセージ

・CD×4枚には全シングルAB面50曲ほか全55曲!

・DVD×3枚にはビクター発売の全映像作品!

・[豪華ブックレット]本人、筒美京平、尾崎亜美、林哲司各氏ライナー/全シングルジャケット集/ディスコグラフィー


 アイドルのBOXセットが相次いで発売されてますが、ビクターも去年から今年にかけて桜田淳子、麻丘めぐみ、そしてこの松本伊代と復刻に精力的ですね(石野真子がポシャったのは何故だ!?)。正直、好きな曲があるから何かベスト盤が欲しかったとか、前から聴いてみたいと思ってたぐらいの人にはセットものは高価過ぎるとは思うんですが、松本伊代にとって90年代以降初のまともな復刻ですから是非!触れておきたいのです。

 アイドルポップス最王手CBSソニーの松田聖子デビューの翌年、ライバル社であるビクター音楽産業が送り出した一押しのアイドル、それが松本伊代です。この関係性が70年代における南沙織と麻丘めぐみに相当するということはよく言われます。松本伊代は、それだけ重要な存在にもかかわらず現在過小評価されているというのは事実でしょう。その頃の彼女のアイドルとしての存在感の大きさについては、当時「よい子の歌謡曲」で毎号毎号語られていて、とてもここでは上手く描写出来ません……。が、ひとつだけ明らかなのは、80年代、メディアの虚構性が解体し続ける中、それに抗わずフツーのアイドルでいられたのは伊代ちゃん1人だったという事実の大きさです(もちろん松田聖子は立派に虚構を信じ続けたし、小泉今日子やおニャン子クラブはそういった事態に乗じてアドバンテージを得た)。松本伊代の歌に救われるのは、そんな彼女自身の潔さがポップスの精神にも似て、自由で風通しのよい音楽となっているからなのだと思います。

 京平先生自身、この箱のライナーで"平山三紀、少年時代の郷ひろみと共に私の好きな三大ヴォイス"と語っている。この文章、京平先生のアイドルたちへのスタンスが垣間見える貴重なものなので是非ご一読を。その京平先生によるデビュー曲「センチメンタル・ジャーニー」、セカンド「ラブ・ミー・テンダー」とも、その特異なボーカルが生かされていて魅力的。デビュー曲B面「マイ・ブラザー」も含め、どれも湯川女史好みのオールディーズ風タイトルが示すとおり、ステディなポップスに仕上がっている。

 ところが第3弾シングル「TVの国からキラキラ」で早くもポップスを逸脱してしまう。今にして思えばこの曲は80年代という現象にまつわるメッセージソングだったんですね。「なんてったってアイドル」との違いは、あくまでもポジティブなところ。サウンドまでもが"キラキラ"の表現に成功してるから説得力がある。作品としても、手の込んだメロディーと歌や演奏のスピード感が拮抗していてかなりの聴き物です。B面「PATA PATA」もA面とテーマを対にした、チャイニーズスケールの切ない名曲。そして1982年は、松本伊代が松田聖子を差し置いて「よい子大賞」を受賞したのでした。

 デビュー1年目は京平メロディーのよき表現者だった伊代ちゃんですが、「抱きしめたい」「チャイニーズ・キッス(Chinese Kiss)」と立て続けの名曲で康=亀井コンビを世に紹介するという功績も果たします(「チャイニーズ……」なんて今も必ず月1回は聴いちゃうな……)。このコンビが大活躍したアルバム『サムシングI・Y・O』も含めて、伊代ちゃんにはこういったポップスの上品なスタンダード感が一番相応しいのかななんて思っちゃいます。

 「恋のバイオリズム/うそがおじょうず」で拓郎メロディーとも相性のよいとこを見せてくれた後、ついにもう一人の重要な作家・尾崎亜美と出逢います。ここから4枚の尾崎亜美作品はカップリングも含めて名曲揃い。ピアノ作品らしい可愛い小品「時に愛は」、ロックバンドを率いてるかのようなボーカルが秀逸のシャッフル「恋のKNOW-HOW」、大仰なバラードでも微塵も嫌味を感じさせない「流れ星が好き」、ハードなサウンドながらも繊細な実験作「シャイネス ボーイ」、と、伊代=亜美コンビの領域の広さに驚かされた一年だった。「真珠のイヤリング」なんて、スイートソウルみたいなグルーブに圧倒されて毎回聴き惚れてしまう。京平作品で強烈なイメージを得たアーティストが、こんな風に他の作曲家とそれに匹敵する世界を確立出来たのってかなり珍しいケースだと思うのです。

 85年に入ると松本=細野コンビの作品「月下美人」が出色。前出「よい子」の本作品レビューでは、松本かづみさんが"聖子以後のアイドルでいちばん正しく聖子との距離をとっている"と書かれてる。聖子の後追い的に松本作品でデビューした石川秀美、タイアップありきで政治的に彼を起用した小泉今日子や早見優、聖子との関係性を意識するあまり起用出来なかった中森明菜……。同期アイドルの中で松本伊代だけが(聖子の休業中とはいえ)、はっぴいえんどコンビによる、その持ち味が活かされた作品に恵まれたことは意義があった。同年に小泉今日子が「魔女」で松本隆に聖子へのアンサーソングを書き下ろされた一件とは対照的でした(これもいい曲だけど)。「月下美人」では編曲に鷺巣詩郎が復活。ゴージャスな映画音楽風イントロ、ハープやストリングスとコーラスの流麗な響きが美しいアレンジは松本=細野コンビへの120%の回答になり得ている。後にエヴァンゲリオンの音楽担当で名を馳せる鷺巣詩郎ですが、松本伊代の音楽に最も貢献したのは彼だったのかもしれない。それも含めてこの曲はアイドル時代の総括だったのだろうか……?

 DISC3の頃になると、林哲司3部作に代表される枯れた世界ばかり歌って一気に老けちゃった感あり。作品はずっと及第点と言えるレベルなんだけど。でも「悲しくてやりきれない」を聴いてるとこのボーカルはやはり唯一無比だなと思う。けして美声じゃないけどポップスと相性のいい輪郭の太い声なんです。ベタツいたところのない絶妙な感情表現は人柄の為せる技かな。

 DISC4には京平作品や細野作品の[SPECIAL DANCE MIX]を収録。正直MIXにあまり差異は感じられません。こんなに時間余ったのなら、カセットリリースのみだった『Dream Pack FOR FANS ONLY! I・Y・O』収録して欲しかった。ここでしか聴けない京平、馬飼野作品や小瀧詠司作品聴きたかったよ! 名盤『サムシングI・Y・O』をはじめとするアルバムCD化までの課題のひとつとしておきましょう。

CD-1
01. センチメンタル・ジャーニー
(作詞:湯川れい子/作曲:筒美京平/編曲:鷺巣詩郎)
02. マイ・ブラザー(作詞:湯川れい子/作曲・編曲:筒美京平)
03. ラブ・ミー・テンダー
(作詞:湯川れい子/作曲:筒美京平/編曲:鷺巣詩郎)
04. 虹色のファンタジー
(作詞:湯川れい子/作曲:筒美京平/編曲:鷺巣詩郎)
05. TVの国からキラキラ
(作詞:糸井重里/作曲:筒美京平/編曲:鷺巣詩郎)
06. PATA PATA(パタパタ)
(作詞:糸井重里/作曲:筒美京平/編曲:鷺巣詩郎)
07. オトナじゃないの(作詞:糸井重里/作曲:筒美京平/編曲:鷺巣詩郎)
08. 恋はBAN BAN(作詞:湯川れい子/作曲:筒美京平/編曲:鷺巣詩郎)
09. 抱きしめたい(作詞:康珍化/作曲:亀井登志夫/編曲:鷺巣詩郎)
10. Kiss In The Dream
(作詞:康珍化/作曲:亀井登志夫/編曲:鷺巣詩郎)
11. チャイニーズ・キッス(Chinese Kiss)
(作詞:康珍化/作曲:亀井登志夫/編曲:鷺巣詩郎)
12. エリオット(作詞・作曲:遠藤京子/編曲:鷺巣詩郎)
13. 太陽がいっぱい
(作詞:篠塚満由美/作曲:羽佐間健二/編曲:鷺巣詩郎)
14. 涙のハンカチーフ(作詞:康珍化/作曲:亀井登志夫/編曲:鷺巣詩郎)
15. 恋のバイオリズム
(作詞:来生えつこ/作曲:吉田拓郎/編曲:荻田光雄)
16. うそがおじょうず(作詞:来生えつこ/作曲:吉田拓郎/編曲:荻田光雄)

CD-2
01. 時に愛は(作詞・作曲:尾崎亜美/編曲:鷺巣詩郎)
02. 真珠のイヤリング(作詞・作曲:尾崎亜美/編曲:鷺巣詩郎)
03. 恋のKNOW-HOW(作詞・作曲:尾崎亜美/編曲:小林信吾)
04. ×NOT FOR SALE(作詞・作曲:尾崎亜美/編曲:小林信吾)
05. 流れ星が好き(作詞・作曲:尾崎亜美/編曲:小林信吾)
06. SUGAR RAIN[VersionU](作詞・作曲:尾崎亜美/編曲:小林信吾)
07. シャイネス ボーイ(作詞・作曲:尾崎亜美/編曲:小林信吾)
08. 冒険少年へのいざない(作詞・作曲:尾崎亜美/編曲:小林信吾)
09. ビリーヴ(作詞:売野雅勇/作曲:筒美京平/編曲:荻田光雄)
10. 淋しさに負けないで
(作詞:売野雅勇/作曲:筒美京平/編曲:荻田光雄)
11. あなたに帰りたい(Dancin' In The Heart)
(作詞:売野雅勇/作曲:筒美京平/編曲:中村哲)
12. You Don't Know Why
(作詞:売野雅勇/作曲:筒美京平/編曲:荻田光雄)
13. ポニーテイルは結ばない
(作詞:売野雅勇/作曲:筒美京平/編曲:荻田光雄)
14. 独立宣言(作詞:篠塚満由美/作曲:滝沢洋一/編曲:鷺巣詩郎)
15. 月下美人(作詞:松本隆/作曲:細野晴臣/編曲:鷺巣詩郎)
16. お楽しみは これから……
(作詞:SHOW/作曲:山川恵津子/編曲:鷺巣詩郎)
17. Last Kissは頬にして(作詞:松本隆/作曲:関口誠人/編曲:新川博)
18. 恋はナイショで……(作詞・作曲:渡辺英樹/編曲:新川博)

CD-3
01. 信じかたを教えて(作詞:川村真澄/作曲:林哲司/編曲:船山基紀)
02. きれいな涙(作詞:戸沢暢美/作曲:林哲司/編曲:船山基紀)
03. サヨナラは私のために
(作詞:川村真澄/作曲:林哲司/編曲:船山基紀)
04. シングルエイド(作詞:川村真澄/作曲:林哲司/編曲:船山基紀)
05. 思い出をきれいにしないで
(作詞:川村真澄/作曲:林哲司/編曲:船山基紀)
06. 思い出をきれいにしないで(Mini Soundtrack Version)
07. すてきなジェラシー(作詞:川村真澄/作曲:岸正之/編曲:船山基紀)
08. 風の宮(作詞:川村真澄/作曲:林哲司/編曲:船山基紀)
09. 淋しさならひとつ
(作詞:売野雅勇/作曲:井上ヨシマサ/編曲:武部聡志)
10. 男には向かない職業
(作詞:川村真澄/作曲:高埜秀一/編曲:奈良部匠平)
11. Sonatine(ソナチネ)(作詞・作曲:大江千里/編曲:新川博)
12. 泣かないでギャツビー
(作詞:戸沢暢美/作曲:小林義典/編曲:新川博)
13. 悲しくてやりきれない
(作詞:サトウハチロー/作曲:加藤和彦/編曲:佐橋佳幸)
14. ソレイユ(作詞:川村真澄/作曲・編曲:佐橋佳幸)
15. きっと忘れるから(作詞:鮎川めぐみ/作曲:熊谷幸子/編曲:新川博)
16. La Primeur(作詞:遊夢薫/作曲:熊谷幸子/編曲:新川博)

CD-4
01. Dancin' In The Heart(あなたに帰りたい)[SPECIAL DANCE MIX]
(作詞:売野雅勇/作曲:筒美京平/編曲:中村哲・小野澤篤)
02. Believe(ビリーヴ)[SPECIAL DANCE MIX]
(作詞:売野雅勇/作曲:筒美京平/編曲:荻田光雄・小野澤篤)
03. 月下美人[SPECIAL DANCE MIX]
(作詞:松本隆/作曲:細野晴臣/編曲:鷺巣詩郎・Dr.Riverbeach)
04. 「Sugar Rain Extra Version(シュガーレイン特別版)」より〜時に愛は(唄とおしゃべり)
05. 真珠のイヤリング(唄とおしゃべり)

DVD-1
「松本伊代ファンタスティック・コンサート」*
「太陽がいっぱい/IYOファンタスティック・コンサートU」*

DVD-2
「松本伊代Doki Dokiコンサート」*

DVD-3
「L.A.より愛をこめて/松本伊代」*

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