80年代アイドルポップスの中でも屈指の名盤。これほどの充実した作品が長い期間埋もれていたという点でこれが80's裏名盤の本命なら、対抗にはシャワーの『Sing Single Singles』(1982)を挙げておきたい(VIVIDさん、復刻計画をどうかご検討下さい)。
ライター陣の豪華さ&捨て曲なしという前提はもちろんのこと、何より森下恵理のボーカルが素晴らしいです。確かにパワフルないい声してるんだけど、緩急もあってどんなタイプの曲も独自の節回しで歌いこなす器用さに彼女の本領を感じる。こういう自分のセンスで楽しそうに歌う歌手って90年代のカラオケブームを経てめっきりいなくなるような気がします……。
作家の方々も彼女のボーカルに感じるものがあったのでしょうか、いい作品を書き下ろしてます。ホント、泡沫アイドルのアルバムにはもったいない、いい曲ばっかり。個人的には竹内まりやが他人に書いた作品ベスト1(「Hey! Baby」)も、安井かずみ=加藤和彦作品ベスト1(「ブルージーン・ボーイ!」)もこのアルバムに入ってるというくらいなんだから、CD化は待ち望んでましたよ!これら音源がないから今まで納得の行く"まりや作品コンピ"とかを作れなかったくらいで。他に安井かずみ=ユーミン、鈴木博文=ユーミンというタッグもなかなか貴重なのではないでしょうか?
アルバムタイトルに『ボーイ・フレンド』とある通り、全編オールディーズフレイバー溢れるドリーミーな世界が素敵です。ほぼ同時期のおニャン子クラブのデビューアルバム『キック・オフ』に非常に良く似たテイストを感じますね(実際、どちらも秋元康=松尾清憲作品を収録)。ただし自分には60年代ポップス賛歌というより、どうしても80年代を席巻したアイドルポップスへのオマージュに聴こえてしまう。このアルバムがリリースされた1985年には松田聖子の結婚・休業があり、おニャン子や「なんてったってアイドル」による内側からの解体も起こる。振り返ってみれば聖子をはじめとするオールディーズに影響を受けた80年代アイドルポップスも、もう暑い季節は通り過ぎてしまった……。
♪9月が過ぎて少しずつ 早くなった砂時計♪
85年というのはそんな年だったし、『ボーイ・フレンド』はそういう時代のモニュメントとしても大切な作品なのです。

01. 中古のムスタング
(作詞:安井かずみ/作曲:加藤和彦/編曲:国吉良一)
02. ダンスはクラスメイトと
(作詞:秋元康/作曲:松尾清憲/編曲:国吉良一)
03. 真冬のデイト(作詞・作曲:竹内まりや/編曲:国吉良一)
04. Kiss Me Tonight(作詞:安井かずみ/作曲:加藤和彦/編曲:鈴木茂)
05. ブルージン・ボーイ!
(作詞:安井かずみ/作曲:加藤和彦/編曲:武部聡志)
06. わたしは街のバレリーナ
(作詞:安井かずみ/作曲:加藤和彦/編曲:武部聡志)
07. ちょっぴり・ボーイフレンド
(作詞:安井かずみ/作曲:加藤和彦/編曲:鈴木茂)
08. Hey! Baby(作詞・作曲:竹内まりや/編曲:鈴木茂)
09. トワイライト(作詞:鈴木博文/作曲:呉田軽穂/編曲:国吉良一)
10. 恋の祈り(作詞:安井かずみ/作曲:呉田軽穂/編曲:国吉良一)
11. 秘密のダイアリー
(作詞:安井かずみ/作曲:加藤和彦/編曲:武部聡志)
12. ふられて・フー・フー
(作詞:安井かずみ/作曲:加藤和彦/編曲:国吉良一)
13. 九月のERI(作詞:秋元康/作曲:松尾清憲/編曲:鈴木茂)
14. サマータイム・グラフィティ
(作詞:湯川れい子/作曲:加藤和彦/編曲:国吉良一)